1. 驚異的な成長を遂げる市場規模
2025年、日本のITフリーランス市場は過去最高の規模へ成長しています。
2025年、日本のITフリーランス市場は、驚異的な成長を遂げ、その規模は1兆1,849億円に達すると予測されています。これは、2015年の7,199億円から比較して約1.6倍の拡大を意味し、この10年間で市場がいかにダイナミックに変化したかを物語っています。さらに、この成長はとどまることを知らず、2030年には1兆3,619億円に達するとの見方もあります。
この急成長は、単なる数字以上の意味を持ちます。企業が外部の専門人材をいかに重要視しているか、そして個人の働き方がいかに多様化しているかの証左と言えるでしょう。
ITフリーランス市場規模の推移(億円)
2. 増加するフリーランス人口と市場構造
働き方の選択肢として一般化するフリーランス。その人口と市場構造を見ていきましょう。
IT分野のフリーランス人口
IT分野に特化したフリーランス人口は、2024年に約35.3万人(前年比107.1%)に達し、2025年には16万1,873人に増加すると予測されています。2028年には45万人を突破し、国内IT人材の40%を占める可能性も指摘されており、IT業界におけるフリーランスの存在感がますます高まっています。
広義のフリーランス人口
より広い視点で見ると、日本全体のフリーランス人口(広義)は2024年時点で1,303万人、その経済規模は20兆3,200億円に達しており、労働市場全体における重要な構成要素となっています。
市場構造とフリーランスエージェントの役割
市場の拡大に伴い、フリーランスと企業を仲介する「フリーランスエージェント」の役割が不可欠になっています。2024年のエージェント市場は2,562億円(前年比124.2%)に達し、2028年には4,300億円規模への成長が見込まれています。
現代のエージェントは、単に案件を紹介するだけでなく、契約交渉の代行、キャリア相談、さらには福利厚生の提供まで行い、フリーランスが安心して活動できるためのインフラを支える重要な存在です。
3. 市場成長を支える4つの要因
なぜITフリーランス市場は拡大し続けるのか。その背景には4つの重要な要因があります。
1. DX推進の加速
全産業で進むデジタルトランスフォーメーションが、高度な専門スキルを持つIT人材への需要を急増させています。特にクラウド、AI、データサイエンス分野での外部専門家として、フリーランスの活用が不可欠となっています。
2. 働き方の多様化
コロナ禍を経てリモートワークが社会に定着し、場所に縛られない働き方が可能になりました。これにより、企業は全国から優秀な人材を、個人は多様な案件を選択できるようになり、市場の流動性が高まりました。
3. 慢性的なIT人材不足
2030年には最大で約79万人のIT人材が不足すると予測される中、企業は即戦力となる高スキル人材を迅速に確保する手段として、フリーランスの活用を重要な経営戦略と位置づけています。
4. 新興IT企業の成長
SaaSをはじめとする新興IT企業が次々と生まれ、市場の活況を呈しています。これらの企業は、柔軟な組織運営と迅速な開発体制を重視するため、フリーランスとの親和性が非常に高いのが特徴です。
4. まとめ
ITフリーランス市場は、2025年に1兆円を超える規模に成長し、今後もさらなる拡大が見込まれています。
本記事のポイント
- 2025年の市場規模は1兆1,849億円(2015年比約1.6倍)
- ITフリーランス人口は16万人超、2028年には45万人へ
- フリーランスエージェント市場も2,562億円規模に成長
- DX推進、働き方多様化、IT人材不足、新興企業成長が市場を牽引
次のページでは、このITフリーランス市場がどのように変遷してきたのか、その歴史を詳しく見ていきます。