フリーランス新法施行後、契約トラブル相談が約40%減少 - 公正取引委員会調査
新法施行後1年で契約トラブルが大幅減少
公正取引委員会は7日、2024年11月に施行されたフリーランス保護新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)の施行後1年間の状況を発表した。それによると、フリーランスからの契約関連トラブルの相談件数が前年同期比で約40%減少したことが明らかになった。
同法は、発注事業者に対して、業務委託の際の契約条件の明示や報酬の支払期限の遵守、一方的な契約解除の禁止などを義務付けるもので、違反した場合には是正勧告や企業名の公表、最大50万円の罰金が科される。
契約条件の明示義務化が効果
調査では、法施行前に多発していた「口頭のみでの契約で後から条件を変更された」「報酬の支払いが大幅に遅延した」「一方的に契約を打ち切られた」といったトラブルが大幅に減少したことが確認された。特に、契約条件の書面(または電子メール)による明示が義務化されたことで、認識の齟齬によるトラブルが大きく減ったという。
フリーランス協会の代表理事は「新法施行により、企業側の意識が大きく変わった。以前は『業務委託だから適当でいい』という認識の企業も多かったが、今は正社員と同等の契約管理体制を整える企業が増えている」と評価している。
中小企業への啓発活動は継続
一方で、中小企業の中には新法への対応が遅れているケースもあり、公正取引委員会は引き続き啓発活動を進める方針だ。また、契約条件の明示義務があっても、実際の業務内容が契約と大きく異なるケースや、適正な報酬水準についての判断が難しいケースなど、まだ課題も残されている。
専門家は「新法は大きな前進だが、フリーランス自身も契約内容をしっかり確認し、不当な条件には毅然と対応することが重要だ」と指摘している。
- 記事提供
- 日本経済新聞
- 著者
- 佐藤 花子
- 公開日
- 2025-11-07